PENTAX 67_4111-2_R

実践ゾーンシステム! その五

【Appendix】

さて、実践ゾーンシステムも、昨日の回で完結いたしました。

本日は、付録としてお届けいたします。

その内容は?!

・デジタルカメラの場合のゾーンシステム適応時の注意

です。

■露出の決定(逆光、半逆光時)

先日の「その三」の際にも少し触れましたが、デジタルカメラでの撮影時、逆光や半逆光の条件では、場合によっては適正露出を変える必要があります。デジタルに慣れてらっしゃる方にとっては、ある意味当たり前のことで・・・今更かもしれません。

フィルムでは、ゾーンスケールに従って、画面内の構成から適正露出を導き出し、露出を決定するとご説明いたしました。しかしながら、デジタルカメラの場合はこの適正露出から、更に1段~2段下げる必要がございます。画面の中に、白いモノ(雲、岩肌、川の白濁、白い建物、白い服など)がある場合、そこが容易に白飛びしてしまうからです。

以下の様なシーンを例にして、露出の違いをご紹介します。

Rolleiflex_t_22612

Rolleiflex T  F3.5 SS:1/500  T-MAX100

まず、こちらはローライで撮影したお写真です。露出は、F3.5×1/500です。

因みにこのお写真は、フィルムをスキャンしたままの状態です。

後ほどポストプロセスに掛けます~(笑)!

K5_620882

K-5+SIGMA AF20/1.8 EXDG  F1.8 SS:1/6400

次にこちらはK-5でのお写真です。露出はF1.8×1/6400です。上のRolleiflexTに比べて絞りが2段ほど明るいですから、F3.5相当でSSは1/1600くらいになるかと思います。つまり上のローライのお写真よりも1.5段ほど露出を下げていることになります。

K5_2

雲の薄い箇所はギリギリ白飛びを抑制しております。しかし、露出が低すぎて祠は黒潰れしております。逆光で、影の中の建物ですから、無理もないかも知れません。この辺りがデジタルの限界ですね~。

さて、ここからLR4にてポストプロセス処理をしたいと思います!

■デジタルでのポストプロセスの限界

それではK-5 の写真をポストプロセスに掛けてまいります。第4回でご紹介した手順を、今回も適応してみます。

K5_752

まずは、LR4のモノクロプリセット、セレン調を適応して、更に明瞭度を+75%にしました。ヒストグラムを見てみますと、中間からライトに掛けて少しトーンが出てまいりました。一方で、ハイライトは飛んでしまいました。シャドウは潰れたままです。

K5_752_2

次にトーンカーブをこれでもか~!と言うくらいいじり倒しまして、中間からライトのボリュームを上げました。白飛びが強くなりましたので、露出を下げて、コントラストも下げました。ダークとシャドウは目いっぱい持ち上げております。それでも黒潰れは消せません。

最後にビネットを入れて、仕上げております。そのお写真がこちら↓です~。

K5_620884

なんとなくフィルムっぽくなってきました。

・・・が!
やっぱり違うんですよね~。空のトーン、足元の草の描写、祠の描写・・・いずれも力不足感が否めません。

次に、Rolleiflex Tでのお写真をこちら↓にご紹介いたします。

Rolleiflex_t_22615

ポストプロセスでは、同様にセレン調を適応して明瞭度を75%に上げ、トーンカーブを少しいじって、中間~ライトを持ち上げて、最後にビネットで仕上げております。ただし、K-5でやったような露出下げ、とコントラスト下げはしておりません。必要ないからです。

う~ん、やっぱり違うんです!持っているトーンが、情報量が、違うように思うんです。

もちろん、画角も違えばフォーマットも違う、おまけに絞りも露出も違うので、1:1で比較するのは間違っているのです。

そう、間違っているのです。
つまり、デジタルAPS-Cごときでは、到底敵わないのです。

ちなみにローライの写真の方のヒストグラムはこんな↓感じです。

Rolleit_752

いかがでしょう?中間~ライト~ハイライトに掛けての情報量がK-5に比較して多いのがお分り頂けますでしょうか?トーンカーブもまだまだいじれる余裕がありますので、実は、もっと情報量を出していくことも可能です。ただ、オリジナルのイメージを壊したくないので、ここで留めてある・・・といった感じです。

☆これは私の推理ですが・・・

デジタルは、白飛び抑制のために露出を落とさなければいけません。その分、ダークやシャドウの情報量は必然的に下がります。情報量が下がると言うことは、ノイズの割合が増えてしまうと言うことになります。撮影時に低感度で撮影しても、ポストプロセスで持ち上げると言うことは、その箇所は高感度撮影したようになります。ノイズ比が高くなると、必然的にノイズ抑制のためのデジタル処理が入ります。諧調も解像度も失われます。それを計算で持ち上げると、いわゆるデジタルっぽいのぺっとした描写になるのでは?と。

フィルムは、おそらくしっかりと情報を持っていると思うのです。スキャンする際も、十分な光を当ててフィルムを透光して読み込みますので、フィルムで暗くなっている部分も、データとしてはよりノイズ比を下げて取得できるのでは?と思うのです。もちろん、フィルム自身が持つ粒状感は残りますが。結果、ポストプロセス耐性がとても高くなるのではないかな~?と思うのです。

ま、あくまで素人の憶測に過ぎませんが・・・(汗)。

■付録まとめ

デジタルでの撮影・・・特に逆光や半逆光のような条件においては、ゾーンシステムで謳われている最適露出から1段~2段下げなくてはいけない場面が多々あります。露出を下げる量は、カメラのダイナミックレンジに依存します。

また、露出下げの影響は、ポストプロセスでの作業量を増やす結果となります。それだけ無理なデジタル処理を施すと言うことは、オリジナルの印象を損なう結果となる可能性が大きいです。

以上のことを念頭にして、ゾーンシステムをご利用いただければと思います~!

さて、全5回にわたってお届けしてまいりました、実践ゾーンシステム!いかがでしたでしょうか?

また、いつの機会かに写真に関する勉強会・・・的なエントリーをやってみたいと思います。それまで、ネタを探します~(笑)!


12件のコメント

  1. Ricky007 より:

    大変勉強になりました!!
    同じような構図でデジタルとフィルムの比較…これはわかりやすいです。
    デジタルって、撮影した画像が即仕上げ画像のような印象があります。これってダイナミックレンジの狭さを隠すための誤魔化しのようが気がしているんですよねぇ~
    それに対して、フィルムは、基本ゆる~いトーンででてきますから、ポストプロセスにおける明暗の調整幅がやっぱ広い。
    デジタルでも、メーカーがその気になれば、フィルムに追いついくことは不可能ではないんでしょうけど、なんだかそういう方向に努力しているとは思えないのが不安…カスタムイメージとかに凝ったりしていて…

  2. 黒顔羊 より:

    わはは、こうやって比較すると、とってもよくわかるんであります・・・
    B&Wフィルムと比べられたら、デジタルは立つ瀬がありませんねえ。^^;
    K-5は現行のデジタルカメラとしてはかなり優秀なダイナミックレンジを持っているんですけどね。
    B&WのTMXのナチュラルな階調感とは、「月とすっぽん」なんであります。^^;;;
    雲の微妙なトーン、祠のシャドウのディティル・・・やっぱB&Wフィルムは良いなあ♪
    光と影をテーマにした写真を撮るとき、フィルムの方がやはり自分の意図を出しやすいですね。^^

  3. gucci より:

    この比較は素晴らしいですね~
    はっきりと違いが出ていて大変分かりやすいですし、なんといっても文章も素晴らしい~(^^)
    LRは部分補正も大変優れているので、デジタルだとそこを使わないと、フィルムに近づけるのは難しいと思ってます。
    ただ・・・
    LR3だと、覆い焼きなどの機能や、一部のシャープ機能がそれ程優れていないのですよね~
    LR4より実装された機能が結構羨ましく感じていますw

  4. 皐月の樹 より:

    Ricky007さん
    こんばんは~!
    お楽しみ頂けましたでしょうか~?f(^^;
    こういうローコンなシーンでは、如実に差が出ちゃいますね~(^^;
    デジタルでは、こういうシーンをハイコンにしようとヒストグラムの両側に引っ張っていきますと、諧調が破綻していくのが目に見えますね…。一方で、フィルムは、一見同じようなローコン写真なのに、コントラストを上げていっても、中間の諧調がモリモリ出てきます♪
    楽しいです(^^)v
    メーカーには、、フィルムライク…目指してもらいたいですね~。
    やるとすれば…それこそペンタくらいでしょうかね~(^^;

  5. 皐月の樹 より:

    黒顔羊さん
    こんばんは~!
    あははは、そうですよね~(^^;
    これだと、ちょっとK-5いじめしているようで…f(^^;
    気の毒でしたかね~f(^^;
    でも、相手が他のデジカメではなくフィルムですから…仕方ないですよね~(^^)v
    フィルムが持つ情報量、やっぱり半端ないんですよね~。
    これだから、やめられません~(^^)v
    仰る通り、光を捉える作品作りにおいて、フィルムはまだまだ欠かせないんですよね~(^o^)

  6. 皐月の樹 より:

    gucciさん
    こんばんは~!
    ありがとうございます~(^^;
    LR4は、痒いところに手が届く感じで、助かっております~(^^;
    なるほど~、LR3は、その辺りの機能が乏しいんですね~、知りませんでした~(^^;
    何を隠そう…私、LR4がはじめてのシフトでした…f(^^;
    今は5になりましたが、さらに便利になったんでしょうね~。
    如何ですか、バージョンアップ♪(^^)v
    フィルム使いには、欠かせないアイテムかと…f(^^;

  7. film-gasoline より:

    いや?、今回のエントリーもとても勉強になりました。
    特にデジタルでの応用、なるほどって感じです^^;
    しかし、ますますフィルム依存度が上がる気がしました^^;

  8. Pic-7 より:

    以前net上で「未だにBWのFilmで撮る意味ってあるんですか?」って書き込みに対して、
    「ダイナミックレンジの広さは、BWのFilmを使うことの、一番のメリットかもしれません。」って返答がありました。
    このダイナミックレンジはBW Filmの独壇場で、最大の特徴と言われていますよね。
    逆にこのデジタルにこの特徴を求めることや、Filmの質感そのものを求めるのって、ほとんど意味の無いことだと思います~^^
    ただ、不思議なのが、ネガフィルムでも数値的にはそんなにダイナミックレンジって広くないんです。
    ネガフィルムならまだしも、ポジとなるとAPS-Cのデジタルよりも狭いダイナミックレンジですし。
    写真の情報量や質感って、ダイナミックレンジだけでは納得のいく説明がつかないんです。
    これは全く根拠のない僕の想像なのですが、デジタルの(ベイヤーでもFoveonでも)ピクセルと、Filmの粒子も決定的な質感の差を生んでいるのではないかと。
    また、情報量よりも質感の方に、観る側に差を生んでいるようにも感じます。
    例えば、人間は「見慣れた方に好感を持つ」習性があるので、ちょうど僕らくらいの世代までは、Filmの質感に好感を持つものの、
    それよりも下の世代はデジタルの質感に好感を持つ傾向にあるのかもしれません。
    ・・・と言う説もあります。
    信じるか、信じないかは、あなた次第(って都市伝説か!?(笑)

  9. gucci より:

    どうもです、実は、現在のPCが調子が悪くて、編集中にブルー画面になったりするんですよw
    それで、次のPCは既に組み上がって用意してあるんですが、まだ移行していないんですよね・・・
    移行したら、新しいの入れるつもりなんですが・・・(^^ゞ
    LRは2の頃から使っているんですが、3でも主たる機能は網羅しているので、機能よりもブルー画面落ちだけ何とかしたいです・・・

  10. 皐月の樹 より:

    film-gasolineさん
    おはようございます!
    お返事、大変遅くなりまして、すみません~^^;
    ありがとうございます~^^;
    デジタルの便利さを考えますと、もちろん外せないのですが・・・ここぞという時は、どうしてもフィルムで行きたくなります・・・心情的に^^;
    私も、フィルム依存度99%です・・・^^;;;
    なんとなく、フィルムで撮った写真の方が、自分の中に残るんですよね~・・・自己満足の世界ですね^^;;;

  11. 皐月の樹 より:

    Pic-7さん
    おはようございます!
    お返事、大変遅くなりまして、すみません~^^;
    コメント、ありがとうございます。
    最新のDSLRのダイナミックレンジは、仰るとおり数値的にはネガに負けてませんよね~!でも、私は、ダイナミックレンジは、今回述べたこととは関係ないと思っているんですよ~^^;
    ダイナミックレンジって、上のハイライトからシャドウまでの幅ですよね。私が、今回お伝えしたかったのは、その中間グレーの情報の密度(・・・という表現が正しいかは分かりませんが^^;)が違うように思うのです。そして、これは、フィルムとデジタルの差もあるのですが、どちらかというとCCDとCMOSの差なのかも知れません。私の場合、スキャナーで取り込みますので、CCDを使っております。CCDは、CMOSに比べて撮像素子の回路が簡単なので、受光部の面積割合を大きく取れます。その分、入力情報に対してのノイズ比を下げることが出来ます。結果的にダイナミックレンジの解像度(撮像素子の解像度ではないんです^^;)が上がる・・・と思います。ただし、コレは光が十分にあった場合です^^;
    そもそも、半導体の撮像素子は、ダイナミックレンジ域の受光感度がフィルムに比べて非線形要素が大きいです(それを計算して線形にしておりますが・・・^^;)。そして、それはCCDの方がより非線形度が強く、結果的にダイナミックレンジが狭くなっております。ですので、CCDは光が十分にある場合は、有効ですが、暗くなるとCMOSが有利ですね。まあ、他にもCMOS有利の点はたくさんあるのですが。
    あと、デジタルではHDRを使えばダイナミックレンジはフィルムを圧倒的に越えて、人間の目に近づきますよね。だからそういう意味では、フィルムは超えてますね!
    すみません、長くなってしまいました。
    あと、都市伝説・・・信じますよ~!^o^/
    私も、人生の殆どをフィルム写真をみて育ってきましたv^o^
    いいな~、と思う写真や、憧れる写真家の写真で、感動を覚えるのはいずれもフィルム写真・・・ただ、そういうことなんだと思います!同感です!v^o^

  12. 皐月の樹 より:

    gucciさん
    おはようございます!
    お返事、大変遅くなりまして、すみません~^^;
    おお~、PC不調ですか~。それは大変ですね~^^;
    PCの移行・・・大変ですよね~^^; 分かります!
    私も、以前使っていたデスクトップが逝っちゃいまして・・・その時から、ノートに移行しました。しかも、2台のノートで平行運用と言う形をとりました。出張が多いので、デスクトップだけだと何かと不便でして・・・^^;
    そのブルー画面のエラーの内容って・・・ハードですか?ソフトですか?

コメントをどうぞ

免責事項

著作権者の文書による承諾を得ずに、本サイトの内容の一部、全部を無断で複写、複製、転載することは、禁じられています。
また、当ウェブサイト に記載された情報の完全性・正確性に対して一切の保証を与えるものではありません。当ウェブサイトに含まれる情報もしくは内容を利用することで直接・間接的に生じた損失に関し一切責任を負わないものとします。